業務マニュアルを廃棄する日

2026/03/26 22:50

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主張

AIエージェントに仕事をしてもらうために、まず現在の業務を人間向けの業務マニュアルとして整備し、それを読み込ませようと考えていないでしょうか。

私は、この進め方はあまり良くないと思っています。必要なのは、人間向けマニュアルを起点にすることではなく、AIエージェントがそのまま実行できる指示を、業務の一次情報として持つことです。

理由

従来の業務マニュアルは、人間が読んで理解し、判断し、実行することを前提に作られてきました。ただ、この方式には、実際の業務とドキュメントがずれやすいという問題があります。

現場では、例外対応や小さな改善が日常的に発生します。一方で、Wikiや手順書の更新はどうしても後回しになりがちです。その結果、実際の運用とマニュアルの間にドリフト(乖離)が生まれます。

ここでさらに、AIエージェント向けに別の指示書を追加すると、同じ業務を複数の形で管理することになります。人間向けマニュアルとAI向け指示書の両方を同期し続けるのは難しく、むしろドリフトの温床になります。

だから、最初に整備すべきなのは人間向けの手順書ではありません。AIエージェントが直接実行に使う指示を中核に置き、人間向けにはその業務の目的や制約、判断の考え方を持つほうが自然です。

具体例

たとえば、Anthropic の Plugins のような単位で業務の情報をまとめることを考えます。

AIエージェントが実際に参照する実行手順は SKILL.md などに記述し、業務の背景や責任範囲、失敗したときに何が問題になるのか、どんな制約を優先すべきかといった内容は README.md にまとめる、という構成です。

このとき、一次情報になるのはあくまで AI エージェント向けの実行指示です。人間向けドキュメントは、その実行指示の背景を理解し、必要に応じて見直すためのものになります。

つまり、人間が持つべき情報は「どう作業するか」を一歩ずつ説明した手順書ではなく、「なぜその業務が存在するのか」「どこに責任があるのか」「例外時に何を優先して判断するのか」といった、設計と統治のための情報です。

まとめ

AIエージェントに仕事をしてもらう時代に、人間向けの業務マニュアルを整備してから読み込ませる、という順番はあまり良いものではないと思います。

先に整備すべきなのは、AIエージェントがそのまま実行できる指示です。人間が管理するべきなのは、その業務の目的、責任、制約、判断基準です。

廃棄したいのはドキュメントそのものではありません。人間向けマニュアルを起点に業務を記述する、これまでの発想です。これからは、AIが実行する指示を中心に据え、人間はその業務の意味と統治を担う形へ移っていくのだと思います。

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