19/Aug '97
北京は笑いで満ちている。 成田から3時間トンでたどり着いた場所は、旧共産圏というイメージからかけ離れた場所だった。 Luggage Claim にあった中国銀行で両替をするのを忘れたためにエラい待つはめになった。 両替所は、入国審査の内側と外側で同じところにつながっていて、内側の窓口には男性職員が張り付き、外側の窓口には人がいない。中で必死に働いている女性職員が時々やってきてこなすのだ。外側の窓口には申請書類さえも置いていない。 白タクの兄ちゃんが北京語(かどうかはわからないけど、ここは北京空港なのでたぶんそうだろう)で紙をもらってくれて、さらに国籍などを書いてくれた。もちろん、彼はオレの宿泊ホテルが目当てだった。数十秒後、彼はオレの泊まるホテルの名前を書いた紙とともに現れた。かわいそうだけど、他の金のありそうな日本人を探してくれ…何十ドルも払う余裕は無いんだ。
「by bus!」 ボーゼンとしている彼を置いてエアバスのチケット売り場へ。
「To Peking Station」「Where is your hotel?」「here!」と言ってホテル名を見せる。「Yeh, Peking Station」「???」 そんなことはわかってるんだ、と思ったらチケット売り場の横にあるインフォだった。チケット売り場のお姉ちゃんが英語わかるわけないもんね。
んでもってバス。おんぼろバスである。座れない人が出るくらい混むが、日本人はただ一人。English Speakerも二人。ANAにあれだけ乗っていた人たちはどこに行ったの?
いくつかの停留所をすぎて、駅の近くだろうというところに到着。もし乗り過ごしたら空港に戻ってしまう。近くの若者に聞くしかない。
「Is here Peking station?」…通じない。Peking Stationくらい通じてほしい。用意していたメモに北京粘と書いたら通じだ。うれしそうにうなずく。感じは便利だ。だけど、駅は站であって粘ではなかった?まぁ、樹は心。通じたから良いや。
30℃の中をホテルを探して歩く。30分くらいかかった。
フロント
英語が通じた。が、デポジットを200元出せという。両替した215元のうち、16元をエアバスに使ったから手持ちは199元。両替所で両替しろというが近所にそれっぽい場所が開いていなくてできない。もう一度フロントに戻ったら150元でいいという。初めっからそう言ってよ。この間英語のはなせる人一人とはなせない人二人と問答。ま、明るいお姉ちゃんたちだったからいいか。「ま、いっか」が中国旅行には必要だということがわかった。面倒だし暗くなったので北京は見なくていっか。
1元=14.61円
19:15
暗い。部屋中の明かりにテレビまでつけてるのに暗い。表では行き交う車のヘッドライトばかりか、街頭まで無灯火だ。まるで電気の無駄遣いは悪だと言わんばかり。映画に出てきた昔の北京は西洋の香りが漂ってた気がするんだけどな。
20:15
外に出た。街灯がともりだしたからだ。水を買う。値段がわからずにペンを出すと、あきれて細かいのはいいと追い出される。が、3元以上払った。水は結構高い。北京站を撮影してホテルの部屋に戻る。
規模が小さい。だだっ広い国なのにボーディングポートは一本しかないようで、そこら中に大小の飛行機が翼を休めている。入国審査は全て素通り。なんでも持ち込めそうだった。全てのがいい加減。今のところ中国には発展途上国としての感情しかない。さて、ロシアは?そして汽車は?汽車はSecond Classという事実にかけるしかない。
21/Aug '97
12:55
ツォグトバータルとソートンコーは身繕いに余念がない。荷物の整理もほぼ終わってる。もうすぐウランバートルだ。今日は西瓜とプルーンをごちそうになり、カロリーメイトをかわりにあげた。ソートンコーはお気に入りのようだ。4人のコンパートメントがいつの間にか5人になっている。モンゴル語を話すモンゴル人のような顔をした中国人だ。ショーンとかいったかな。感じが通じるので助かる。オレの名前はルーモーチャンと発音するらしい。韓国語読みはどうだったかな?スイカはシーガだとか。
ウランバートルからは何人乗ってくるのか。日本人のバックパッカーが列車に一人欲しいところ。英語も感じも通じない国、ロシアへ向かう。
頼むから、荷物満載の現地人は避けてほしい。
14:30
ウランバートル着。皆降りてしまう。 駅で日本人を見かける。やっぱり乗ってたんだ。なぜか東海道線の話をしている。
新たに乗ってきたのは女性3人。何者だろう。やはり荷物がすごい。
腹が減ったがドンを持っていない。続々と人が乗り込んでくる。女性は気を使うな…。美人ではない。
17:20
暑い。日が直接入ってくる。 彼女たちは大量の服を袋から出している。何者だろう。大量のホコリを運んできていることは間違いない。鼻がグズる。モスクワまで行くのかなぁ…。
19:40
少し暗くなってきた。白夜まではいかないだろうが、少し期待できる。
21:50
ようやくモンゴル最後の駅、スヘバートルについたようだ。次のナウシキでは両替を忘れないようにしなければ。
22/Aug '97
1 USD=118.16 JPY
1 USD=6.730307 RUB (2024/04/21 確認。文中の数字は1000倍になってる?)
00:23
ロシアの入国審査に入る。税関用の紙を渡された。全て漢字。中国人と間違われた。英語バージョンをもらう。
軍人登場だ。パスポートの写真を見て変な顔をする。女性の軍人を呼んできて笑う。確かにあれは変な写真だけどさ…。結局東洋人の顔は白人には見分けられないんだし適当にしてくれればいいのに。
入国審査が一番厳しかったのはモンゴルかな。ヴァンバダルジは箱あけさせられてたし。
01:55
突風とともに暗闇がやってきた。停電。こんな時間に駅でウォッカを飲みながら何かを食べていた人々もいなくなる。雨。列車が揺れている。列車が遅れなければいいけど。
13:20
またもや両替をし損ねたので車掌に銀行のある駅を聞こうとするが、漢字も通じず。近くにいた英語のはなせる中国人に助けを求める。食堂車にいけば両替してくれるらしい。1ドル=5700ルーブルとはいかないらしいが。 食堂車は一番後ろ。ここは5号車だけど一番前。遠い。9号車あたりで声をかけられる。地球の歩き方を持っていたので日本人だとわかったらしい。彼曰く、ナウシキは両替できる状況ではなかったらしい。ではなぜ皆ルーブルを持っているのか不思議だ。今、食堂車のおじさんが来た。今度は同じコンパートメントの英語のできる女性に助けてもらい、無事1ドル=5500ルーブルで20ドル分交換する。助かった。
話は戻って、日本人は北京で列車の切符を買ったそうだ。2万円なり。日本で買う3分の1やんけ。でも、そのせいで北京に2週間いなければならなかったそうだ。北京も2年前と大きく変わったとのこと。車が増え自転車が減った。十分自転車多かった気がするけど…。
とりあえず飢えずにすむ。
同室女性の正体が分かる。大量の荷物は商品であった。駅に着くだびに飛び出していって売りまくっている。一番上のマリーンは英語を少し、その妹はロシア語バリバリ、もう一人の妹はモンゴル語だけだけどはの違うができるw、のトリオだ。他の乗客からも、ビジネス?とはやし立てられている。この後少し話をして夕食をゴチになる。
23/Aug '97
13:00
御飯時。ちょっとごちそうになってから洗顔に逃げる。どうも連チャンでごちそうになるのは気が引ける。戻ると座れと言う。座ったとたん駅に着く。皆の目つきがかわる。ビジネス?Yah!、飛び出ていく。娘は窓から売っているが、なぜか車掌に止められる。中国人は表でしゃべり、日本人と白人は写真を撮り、モンゴル人は物を売り、ロシア人は物に群がる。やはり地方には物が無いんだろうか。
13:30
新人2人が現れる。商品を持ったモンゴル人2人。2人は別々のコンパートメントに入れられる。4つのコンパートメントが開いているにも関わらずだ。白人は怒る。なぜ開いているコンパートメントに2人一緒に入れてやらないのか?英語のわかる中国人を介して問答するも埒あかず。隣の車掌も呼んで続く問答。一番強いのは白人女性。通路を行き来してからのロックされた扉をたたいて回る。「It's empty!」
結局隣の車両の車掌が折れて、2人を引き取っていった。2人の商売人は同室のモンゴル人の友人だそうだ。
15:15
マリインスク。売っている姿のアップをとろうと望遠レンズをつけてスタンバイ。撮影しようとすると変なおじさん2人が何かを言ってくる。出てこいというようなジェスチャー。フィルムは残り2枚。ここでとられるとここまでに撮った34枚は失われることになる。表に出ようとすると2人はどこかえ行ってしまった。大事を取って撮影は諦める。
表に出ると日本人が。学生だというと思いっきり驚く。外国人には年相応じゃないかと言われるので、久しぶりにショックを受ける。残り3719km。あさってはモスクワだ。
17:43
タイガ。下車し食料を買おうともくろむが、パン屋さんには人がいなかった。あきらめて肉の串焼きを買った。8000ルーブル。毛羽部のような味がしたので、たぶん羊肉だろう。醤油のような味付けで結構おいしい。日本人に会う。レストランで食事はどうかとのこと。お金はあっても食料がない状態なので喜んでOKする。隣の車両から乗ろうとしたら止められた。乗客じゃないと思われたらしい。5号車を指すとのせてくれた。
22:00
日本人と一緒に食堂車に行く。サラダ・スープ・メイン・パン・コーヒーで54000ルーブル。高い。のは当然。頼み過ぎだ。スープとコーヒーだけで十分だった。小さくなった胃には入りきらない。残してしまった。ボルシチ超美味かった。一緒に行った日本人はドルで払う。1ドル5000ルーブル相当。おじさんに頼んだ方が安かった。食堂車のおばちゃんは英語が通じる分レートが悪いのか?他の人たちはメインとビール程度しか頼まない。明日の朝飯は抜きでいい。外はまだ明るい。